.(2009年読了)ホラー・ファンタジー

飯野文彦『バッド・チューニング』

ミステリー的な雰囲気はあるが、いわゆるエンタメ小説ではない。
まあ、ホラーっぽい作品だね(日本ホラー小説大賞の最終選考に残った作品らしい)。
現代的なエログロ、トリップ小説という感じ。
これでもかというくらい、汚い言葉が連続する。
こういうのをやたらと評価したがる人がいるだろうなあ、と思えるような印象は残す。
そういう意味では、本作が出版化され世に出たことは意味があるのかも知れない。そんな不思議な力を持つ作品である。

ちなみに、飯野文彦氏は、ゲームやアニメなどのノベライズで活躍している人だそうだ。

バッド・チューニング
バッド・チューニング
早川書房 2007-08-25
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おすすめ平均 star
starとち狂っている。

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真藤順丈『庵堂三兄弟の聖職』

第15回日本ホラー小説大賞、大賞受賞作。

死体を加工していろんなものを造りだす「遺工師」を生業とする兄弟を描いた作品。
遺工師として優秀な職人である長男(独り言が多い)、普通?の次男、自傷&暴力癖のある汚言症の三男。
強烈なキャラたちが織り成すグロテスクな物語だ。

著者の、真藤順丈は『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を獲った人。2008年には、あわせて4つの新人賞を獲った注目の人でもある。

この人、デビュー前は、月に1作ペースで執筆してたとのこと。凄いよね。
本格ミステリーのようにトリックやオチが凄いとか、SFのように構造が凄い、といったタイプではない。(本作もそうだが)プロット自体も普通だ。だからこそ、それだけ量産できるんだろう。
とはいえ、どの作品も特異な世界観を提示、そして確かな筆力を感じさせる作品ばかり。
才能がある人なんだろうね。

庵堂三兄弟の聖職
庵堂三兄弟の聖職 真藤 順丈

おすすめ平均
stars再生
stars極上ファミリー
stars遺工
starsなんだろう・・・
starsエポックメイキングな新しいホラー小説

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ところで、 ダ・ヴィンチ文学賞大賞といえば、ダ・ヴィンチ編集部がやらかしましたね(8月の話だけど)。「編集部選定・コメント」というクレジットを銘打った「今月の注目本130」とかいうコーナーの原稿を、部分的に外部ライターに書かせていたわけです。で、そのライター、本も読まず、リリースも見ず、ネットで拾った情報などで適当に記事を書いてたのが発覚。記事の内容がまったくデタラメだったとのことで、著者からクレームが付いたそうです。アフォな話ですが、ありがちといえばありがちですけどね。

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三津田信三『厭魅の如き憑くもの』

「刀城言耶シリーズ」の第1作。
三津田信三の作品は、以前『ホラー作家の棲む家 』(デビュー作)を読もうとしたことがある。しかし、あまり面白くなくて途中で挫折してしまった。
そのためずっと三津田作品は避けていた。が、この「刀城言耶シリーズ」が大ヒット、大化けしたということで、かなり気になっていた。
「刀城言耶シリーズ」は、三津田信三がこれまでの積み重ねを全力で投入、民俗学の薀蓄などがこれでもかというほど書き込まれた大作、力作である。
今回、文庫版で読んだが、装丁デザイン(および装丁画)が非常によい。また本扉、目次も丁寧なデザインが施されており、購買意欲を起こさせるものとなっていた。

*****
本作は、人間関係および位置関係(地理描写)が非常に複雑である。
巻頭などに、系図(人物相関図)、舞台マップ、家屋見取り図が入っているものの、かなりわかりづらい。
これは、作品の世界観のために意図的になされたものだろう(本作の最大のネタに関わることでもある)。
ただ、読んでいる途中この難解さは、著者の筆力に問題があるのか、単に読者の読解力不足が原因か区別が付かず、読者に「理解の放棄」をさせてしまうことになる。
こういった点が非常にビミョウに感じた。

*****
あと、プロット自体がそれほど面白くない。キャラもいまいち。
また、密室のようなものが登場していても、その設定が甘く抜け道が多数あるように感じたのも残念である。
真相自体もそれほど驚くようなものではなかった。

*****
大作・力作だと思うが、完成度という点では今ひとつな印象は拭えない。
ただ、編集者や読者に「刀城言耶シリーズ」を続けて読んでみたいと思わせるには、十分なクオリティがある作品であることには間違いない。

厭魅(まじもの)の如き憑くもの (講談社文庫)
厭魅(まじもの)の如き憑くもの (講談社文庫)
おすすめ平均
stars綿密な民俗学的調査の下、独自の世界を築きあげた魅惑的作品
stars騙りの妙と多重解決の魅力
stars地図が入りました
starsSAN値がゼロに

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厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)
厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)
おすすめ平均
stars《刀城言耶》シリーズの第一作
stars読みづらさも怖さのうちか
starsまとわり付く視線
stars民族学とホラーと本格の巧みな融合
stars「蛇」シリーズ?

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山田悠介『自殺プロデュース』

語り手(地の文)が女性というのは、山田悠介の新境地かもしれない(W

設定は悪くないが、ストーリーがいただけない。プロットがまったく練りこまれて無い。
ラストのオチも、<自殺プロデュース>という本作のメインテーマ(ネタ)と絡んでないので、なんだこれ!となる。
前半部分はそれほど悪くなかっただけに、残念だ。

自殺プロデュース
自殺プロデュース
おすすめ平均
stars今からでも遅くはない
stars竜頭蛇尾
stars怖い。
starsえっ……?
stars大傑作

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道尾秀介『鬼の跫音』

小説誌『野生時代』掲載の短編6編を収録。
どれもある程度の水準に達している。
連作というわけではないが、「S」という人物と「鴉」に共通点がある。

鬼の跫音
鬼の跫音 道尾 秀介

おすすめ平均
stars満点の…!!
stars帯が・・・
stars待ってました!
starsただのホラーというわけではなく短編ごとに何かしらミステリのトリックが仕掛けられていた
starsホラーだが、ミステリーの要素強し。

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浅田次郎『地下鉄(メトロ)に乗って』

タイムスリップというSF要素の入った一般小説。
浅田次郎の『鉄道員(ぽっぽや)』 奥田英朗の『 ウランバーナの森』朝倉かすみの『タイム屋文庫』、奥泉光の『鳥類学者のファンタジア』などのようなファンタジーだ。
ラストで歴史が変わる、しかも悲劇的に。そこが大きなポイントだが、何をやりたいのかがわからないともいえる。

冒頭の「すべての地下鉄通勤者に捧ぐ」というのと、銀座線に乗って戦地に向かった若者たちがいたのだ、なんてところはグッと来るものがあった。

ストーリー自体は別にどうってことはないのだが、人物描写の細かさ、表現力の豊かさは、さすが浅田次郎といったところか。
※エンタメ作家の作品を「文章下手」なんて批判する人は、こういう作家の文章を良いと言ってるんだろうね。

地下鉄(メトロ)に乗って (講談社文庫)
地下鉄(メトロ)に乗って (講談社文庫) 浅田 次郎

おすすめ平均
starsメトロに乗って
stars浅田作品に求めるもの
stars浅田ワールド入門には不適切
stars最後にヒロインが消えた、この喪失感をどうしてくれる?
stars家族の絆を描いて、ほろ苦さと切なさが胸に迫ってくるタイムトラベル小説

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映画化もされていたのか。

地下鉄(メトロ)に乗って THXスタンダード・エディション [DVD]
地下鉄(メトロ)に乗って THXスタンダード・エディション [DVD] 浅田次郎

おすすめ平均
starsおもしろいですよ。
stars戦前から変わらない地下鉄の軌跡を通じて父を理解していく
starsタイムスリップものの「掟」破り
starsうーん・・・
stars過去と心に留めた想いについて多くを語ら、ずひたむきに生きる名演に感動

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↓それほど似た小説ではないんだけどね。タイトルが素敵でしょ。

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)
鳥類学者のファンタジア (集英社文庫) 奥泉 光

おすすめ平均
starsジャズ・プレイヤーのあなたにおすすめ
stars〈タイムトラベル〉ものにして音楽SF
stars高密度高速おしゃべりファンタジー
stars最後の最後に良かったと思えた本

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椙本孝思『明日、キャロラインカフェで』

商品の売り文句として「奇妙でせつない青春恋愛ミステリー」とあります。
まあ、その通りです。
ただ、ありがちといったら、ありがちな内容かな。
ストーリーの完成度は低い。
誤字脱字が何箇所かありました。

明日、キャロラインカフェで
明日、キャロラインカフェで 椙本 孝思

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おすすめ平均 star
star切ない青春
starすれ違ったままの恋愛の結末が・・・。

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吉野匠『レイン 雨の日に生まれた戦士』

アルファポリスから生まれた剣と魔法のファンタジー。

主人公レインのセリフ運びや地の文に、現代的な砕けた(ギャグありの)表現が使用されている。私は少し違和感を感じた。

それから、レインは大陸の北にある村出身なのに、なぜ(流れ着いた先の)国のために他国と戦うのか?傭兵的性分があるということか?そのあたりがよくわからない。

レイン ―雨の日に生まれた戦士
レイン ―雨の日に生まれた戦士 吉野 匠

おすすめ平均
starsやはり面白い
stars深く考えずにサクサク読むならまあ……
starsこれはひどい
stars仕方が無いのかもしれないが
starsがっかり感が否めない

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※続刊も出ているよう。また文庫化もされている。

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山科千晶『エンジェル・ウィスパー』

序盤は、ありがちな設定、ありがちな内容だなあと思っていた。
しかし、中盤からはいろんな要素が混ざり合い、どのように物語が展開するのか予測できなくなる。
ということで、期待してさらに読み進めたのだが、後半でガッカリ。
敵の考え・行動が「RPGのラスボスが世界を無に帰す」的で意味不明。何をやりたいのかわからない。
偶然の要素も多いし、ネタの一つがモロに「ひぐらし」なのも気になった。
文章はしっかりした作家だと思うけど、内容は×。壮大なる駄作だと感じた。
作者あとがきに「費やした時間に見合った内容であればと心配です」とあるが、残念ながら作者の心配したとおりとなった。。
あと、非常に誤字が多い。いわゆる変換ミス。メディアワークスがまともに校正をしていないことがよくわかりました。

ところで、山科千晶という人は東京都の職員だったとのこと。私の知り合いの都庁勤務の者は毎日激務、深夜帰宅でクタクタ状態なのだが、投稿小説を書く時間が取れる部署もあるということなんだな。何かを犠牲にして、時間を捻出したのかも知れないが。

エンジェル・ウィスパー
エンジェル・ウィスパー 山科 千晶

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恒川光太郎『草祭』

5編の短編を収録。
書名の「草祭」は、その短編の一つから取られたものではない。全体のイメージとしてつけられた書名なのだろう。
ノスタルジー色の強い神秘的な世界観、そして(月並みな表現だが)透明感あふれる筆致は本当に素晴らしい。
ただ、本作はあまり面白くなかった。個々のアイデアがいまひとつ。オチもいまいち。
5作品には、「美奥」という土地を共通させて登場させているのだけど、その効果もあまりなし。
ということで、ちょっと残念であった。

ところで、「天化(てんげ)の宿」に出てくる「天化」というゲームは激しく面白そうだ。これを、小説化してほしいなあ。

草祭
草祭 恒川 光太郎

おすすめ平均
stars記憶に在る奇跡
stars懐かしい景色
stars情緒が消えた、ただの非現実小説
starsノスタルジーの世界
starsより広がった恒川ワールド

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遠藤徹『弁頭屋』

表題作ほか、全5編の短編を収録。
アイデアとか面白いものもあるけど、全体としてみるとどうかなあ~?という感じ。

作家デビューする前に書き溜めていたものを、まとめて出版したんじゃねーの?と感じた。

弁頭屋
弁頭屋 遠藤 徹

おすすめ平均
stars猟奇的な日常
stars大好き!
starsこれはいったい
starsグロテスクかつマゾ的
stars個人的には

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山田悠介『モニタールーム』

設定として、『スイッチを押すとき』の数年後ということになっている。なので、先に『スイッチを押すとき』を読んでおいたほうがよいだろう(まあ、別に読まなくてもかまわないが)。

モニタールーム
モニタールーム 山田 悠介

おすすめ平均
starsう〜…ん
stars確かに後味は悪いかも知れません
stars不快感だけが残る本でした
starsある種、驚愕…
stars一切の悔い無し

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山田悠介『レンタルチルドレン』

まあ、ありふれた素材なのだが……。

SFをやろうとしてるのか、ホラーをやろうとしているのか、よくわからない。
ラストは、マジで意味がわからない(W
読者の想像に任せるというレベルじゃないぞ(W

レンタル・チルドレン (幻冬舎文庫)
レンタル・チルドレン (幻冬舎文庫) 山田 悠介

おすすめ平均
stars自分ならどうだろう…
stars山田作品
stars怖い

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藤ダリオ『出口なし』

椙本孝思の『THE QUIZ(ザ・クイズ)』と同様、クイズをテーマにしたサバイバルもの。

こっちは、5人だ(正確には、5×5の25人)。

オチはつまらなかった。途中はそれほど悪くはないけど、やはりクイズ自体が面白くない。
また、登場人物の決断への思考プロセスの描き方が甘い気がした。答えとして、「東京」を選ぶシーンがあるが、かなり無理がある。

出口なし
出口なし 藤 ダリオ

おすすめ平均
stars設定だけ
starsB級サスペンスの良作
starsジェットコースター・ホラーだ
stars映画CUBEを好きな方向け
stars充分楽しめる作品

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椙本孝思『THE QUIZ(ザ・クイズ)』

集められた10人に課せられる謎のクイズ。間違えた者には死が待っている……。
そんな、よくあるタイプのサバイバル小説だ。

オチ自体は悪くないと思う。

ただ、途中があまり良くないね。これなら短編でよかったと思う。

クイズというタイトルなのだから、そのクイズ自体にもっと魅力が欲しかった。
人物の駆け引きを描くためのクイズも登場するけど、いまひとつかな(オチを知れば、なるほどと思わせるものもあるけどね。オチがひどかったら、ボロクソ文句を書こうかと思っていた)。

どうでもいいが、この手の小説で、最初にいきなり人物を10人も出されると辛いね。
表4に、人物表をつけているのは、そのあたりを配慮したということなのかな。

THE QUIZ(ザ・クイズ)
THE QUIZ(ザ・クイズ) 椙本 孝思

おすすめ平均
starsオチはいい
stars秀逸なラスト
starsミステリーかスリラーだと思っていたら出来の悪いSFだった。
stars相変わらずラストはうまい

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小池真理子『墓地を見おろす家』

2ちゃんねるのミステリ板のスレッド

めちゃくちゃ怖い小説 4
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1194199911/

で紹介されていたので読んでみました。

う~む。思ったよりは怖くない。ただ、終盤にある「引越そうとしても引越せない」主人公たちの立場に、自分がなってみたことを想像すると、ゾっとしますな。

墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫)
墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫) 小池 真理子

おすすめ平均
stars文字だけでこんなに怖いとは……
stars初めて読むぶんには
stars都会の文明批評
starsENDLESS STORY
stars巧みな時間描写

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