書籍・雑誌

柳広司『饗宴 ソクラテス最後の事件』

本年のミステリーの各ランキングで、『ダブル・ジョーカー』が上位に入った柳広司の3作目。
非常に力作である。力のある作家だというのがよくわかる。
本作執筆にあたり、資料を徹底的に読みこなし、勉強したというのが伝わってくる。

幻想的で魅惑的な多数の謎を提示、それらをきちんと解明するあたりは見事。
本作は、発掘されたパピルスに記述されたいたクリトンの手記という体裁をとっている。
そのクリトンの記述に大して、脚注でクリトンの勘違いなどを指摘するなど、芸が細かい。

ただ、それほど面白い作品ではなかった。どちらかと言えば、つまらない方に入る。

ちなみに、読了までかなり時間がかかった。FF13をプレイしてというのが最大の理由。
あと、海外の古典の翻訳風という文になり読書スピードがあがりにくい上、いまひとつ物語が面白くなかったせいもある。
※決して読みづらい文章でないし、文章自体もうまい。

饗宴 ソクラテス最後の事件 (創元推理文庫)
饗宴 ソクラテス最後の事件 (創元推理文庫)
東京創元社 2007-01-30
売り上げランキング : 131655

おすすめ平均 star
starソクラテスの謎解きが、妻が悪妻として後世に語り継がれる原因になるとは
star単なるミステリではない

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

絶対観て損なしの映画『カビリアの夜』

基本的にフェリーニの映画は好きではない。
文学的すぎ、ストーリーが面白くない、意味がわからない、無駄に長いなどの理由による。古典映画マニアでない限り、多くの人が同じ意見を持つと思う。

さて、そんなフェリーニ映画で、唯一好きなのが本作である。

主演は、フェリーニ作品の多くで主演と勤めると同時に、フェリーニの妻も勤めたジュリエッタ・マシーナ。
本作では、ジュリエッタが娼婦を演じている。
娼婦というものは、汚れた存在「売女(ばいた)」として描かれることが多い。
これは、文学作品の多くがそうであるし、社会的通念でもある。
しかし一部の作品では、汚れた存在としての娼婦が「聖女」のような存在に一転する。
非常に不思議で面白いモチーフである。
本作は、そういった娼婦の聖性を描いた代表的な作品といえるのではないだろうか。
※このような作品の例として、松本清張の『天城越え』などがある。

ニーノ・ロータの素晴らしい音楽が流れる中、ジュリエッタがカメラ目線に微笑ながら頷くラストシーンは秀逸である。愚かでありながら、汚れでありながら、懸命に生きる者を描いた素晴らしい作品だ。

カビリアの夜 [DVD]
カビリアの夜 [DVD] ディーノ・ディ・ラウレンティス

紀伊國屋書店 2009-05-30
売り上げランキング : 68476


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
カビリアの夜 完全版 [DVD]
カビリアの夜 完全版 [DVD] フェデリコ・フェリーニ

おすすめ平均
starsおおげさに語られない真実
stars「本当に愛してるの?」「嘘じゃないよね」「信じていいよね」
starsジュリエッタ・マシーナの演技に圧倒される!
stars最後が・・・涙
starsおもしろい。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ちなみに、フェリーニの映画には名シーンというべきものが多い。たとえば、『8 1/2』のラストシーン。ロケット打ち上げ場で、人々が輪になって踊り、物語が歓喜のまま終結する場面。ストーリーはさっぱりだが、このシーンはとても好きだ。

そういや『ジンジャーとアルフレッド』も、悪くはないか。

|

×××挫折×××小堺桂悦郎『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?誰も教えてくれなかった!裏会計学』

電車の中吊りなどで宣伝しまくり、そこそこ売れた本。

というわけだが、第1章で挫折。

「わかりやすく、フレンドリーに」を心がけて書いたつもりかもしれない。
しかし、それが逆効果。
とにかくわかりづらい。読みづらい。理解不能です。
しかも、イラッときます。
※これ、本人が執筆したのでなく、「口述筆記」で作られたものかもしれない。

なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?誰も教えてくれなかった!裏会計学
なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?誰も教えてくれなかった!裏会計学
フォレスト出版 2006-05-20
売り上げランキング : 4163

おすすめ平均 star
star残念賞
star注意して読むべき
star中小企業に元気を!!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

船越百恵『眼球蒐集家』

文章というか全体のテイストは、ラノベだね。
装丁にもイラストが使われているし(イラストとその装丁デザインはなかなかいいと思う)。

2点ほど疑問あり。
・犯人は、第1の犠牲者を、いつ、どう知った?
・犯人は、なぜ第3の犠牲者の目玉を取り出したのか?

眼球蒐集家 アイボール コレクター (カッパノベルス)
眼球蒐集家 アイボール コレクター (カッパノベルス)
光文社 2004-06-19
売り上げランキング : 696959

おすすめ平均 star
star少し気になる点が・・
star好感触
starスリラーとドタバタが同居

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

西村寿行『犬笛』

タイトルからわかるように、『黄金の犬』と同様、犬が活躍する作品。
過去に映画化もされた有名な作品でもある。
エロ描写がほとんどないので、女性で寿行作品を体験してみたいという人にはいいかもしれない。
※1箇所だけ、レイプシーンがある。しかし、寿行作品としてはその描写もかなり控えめ。

面白いには面白いが、作品の出来としてはイマイチかな。
特にラストはひどい。
というか、ワケがわからん。何が起こったの?
西村寿行作品は、どれもラストはいまいちであるが、本作の尻切れトンボっぷりというか、手抜きっぷりは残念(説明不足ともいえる)。なんで、こうなった?

犬笛
犬笛
おすすめ平均
starsゴールトン・ホイッスル(犬笛)で結ばれた父と娘と愛犬の壮大な物語

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

北國浩二『リバース』

2ちゃんのミステリ板などで、やたらと高い評価がされていた(正確には「工作」によるもの)ので、どんなものかと読んでみた。

う~ん、ちょっと厳しいね。
コンクールとかだと、最後まで読んでもらえず、1次とか2次で落ちるレベルじゃないかな。
設定、文章、ミスリードの手法など、全体が素人くさい。
「余地能力」の設定のアバウトさは問題あり。
(1.予知で見えるシーンが神の視点(客観的視点、映像作品風)になっている点。2.対象物の所有者の定義)

ただ、一生懸命頑張って考え、執筆したという必死さが伝わってくる。
次作以降に期待したい。

リバース
リバース
原書房 2009-06
売り上げランキング : 156538

おすすめ平均 star
star単なるストーカーと思いきや・・・愛のある行動は美しいです。
starミステリ小説として読むか、青春小説として読むか
star微妙

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

乾くるみ『六つの手掛り』

表題作ほか、全6編の短編を収録。
う~む、いまいち面白くなかった。
掛け軸の話は、私の頭ではさっぱり理解不能。
書き下ろしの「一巻の終わり」は少し面白かった。

乾くるみの本当の魅力は、短編では出せない気がする。
是非、長編を書いてほしい。
出版社は、長編を書かすようにしてください。

六つの手掛り
六つの手掛り
双葉社 2009-04
売り上げランキング : 171355

おすすめ平均 star
star純粋パズラーに徹した《林》シリーズの連作短編集
starどの事件もよく考えられていると思うが、ちょっと物足りなかった

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

福田栄一『狩眼』

情報の出し方がうまいと思った。

※重大な誤植発見(第1刷)
P136上段最終行
「戸垣」→「只野」

狩眼 (講談社ノベルス)
狩眼 (講談社ノベルス)
講談社 2009-09-08
売り上げランキング : 479925

おすすめ平均 star
starあっという間に読んでしまいました、とても面白かったです。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

木下半太『東京バッティングセンター』

軽妙な語り口で、読むのがとても楽しい。
ただ残念なことに、プロットが面白くない。
(もっと面白くできるはず)
タイトルもいまいちだし。ま、駄作だね。

東京バッティングセンター
東京バッティングセンター
幻冬舎 2009-05
売り上げランキング : 135820

おすすめ平均 star
starシリーズとの「少しのズレ」が面白い
star笑いのセンスどんぴしゃでした

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

このミス2010年版発売!

ああ、もうそんな季節かと。

264ページで500円という低価格。さすが、ベストセラー商品です。
ただ、無駄にカラーの巻頭ページは明らかにタイアップ広告。全体の1/3を占めるのは、このミス大賞出身作家による読み切り短編。こんなもの読者は望んでおりません。なんかここ数年、本としてのクオリティが下がっている気がします。編集担当者が、ミステリーを読む人じゃないんじゃないかな?
※著名人が選ぶこのミスという企画ページもクソ。湊かなえを選んでいる人は、ミステリに精通しているとは思えない。
※マニアックさを減らして、一般受けを狙っているのか?

さて、肝心のベスト10ですが、1位は予想通り東野圭吾『新参者』でした。2位以下は、私がノーマークだったものばかり。ほとんど読んでない。

ちなみに、通称本ミスこと『本格ミステリベスト10』もすでに発売済。
こちらのベスト3は、上位から歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』、西澤保彦『身代わり』、北村薫鷺と雪』となっています。

また「週刊文春ミステリーベスト10」のベスト3は、上位から東野圭吾『新参者』、柳広司『ダブル・ジョーカー』、北村薫『鷺と雪』となっています。
このミステリーがすごい! 2010年版
このミステリーがすごい! 2010年版
宝島社 2009-12-10
売り上げランキング : 108


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

以下、このミス上位3作品。

新参者
新参者
おすすめ平均
stars無難だがよく出来ている。買って損はない。
stars上手い、上手すぎる。
starsちょっとガッカリ・・・
stars「下町人情ミステリ」に尽きる
stars素晴らしい第一章なのに・・・

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ダブル・ジョーカー
ダブル・ジョーカー
おすすめ平均
stars荒唐無稽だがタッチは軽快
stars予測不可能なスリル満点の展開。この面白さは一気読みあるのみ!
stars口語的
stars踊らされてるのは自分?それとも魔王?
stars前作のほうが良かった

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
Another
Another
おすすめ平均
starsたくらみに満ちた傑作
stars著者久々の傑作
stars面白かったです!
stars〈もう一人(Another)〉は、誰――?
stars久しぶりのヒット!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

【おすすめアニメ&ゲーム】 | 【絶対見て損なし】映画 | 【絶対読んで損なし】SF小説 | 【絶対読んで損なし】ミステリー | 【絶対読んで損なし】一般小説他 | (2006年読了)SF | (2006年読了)ノンフィクション※新書は別カテゴリー(以下参照) | (2006年読了)ホラー・ファンタジー | (2006年読了)ミステリー | (2006年読了)ライトノベル | (2006年読了)一般小説 | (2007年読了)SF | (2007年読了)ノンフィクション※新書は別カテゴリー(以下参照) | (2007年読了)ホラー・ファンタジー | (2007年読了)ミステリー | (2007年読了)ライトノベル | (2007年読了)一般小説 | (2008年読了)SF | (2008年読了)ノンフィクション※新書は別カテゴリー(以下参照) | (2008年読了)ホラー・ファンタジー | (2008年読了)ミステリー | (2008年読了)ライトノベル | (2008年読了)一般小説 | (2009年読了)SF | (2009年読了)ノンフィクション※新書は別カテゴリー(以下参照) | (2009年読了)ホラー・ファンタジー | (2009年読了)ミステリー | (2009年読了)ライトノベル | (2009年読了)一般小説 | <映画雑談> | ×××挫折××× | ■PHP新書 | ■ちくま新書 | ■メフィスト賞受賞作品 | ■中公新書 | ■光文社新書 | ■幻冬舎新書 | ■扶桑社新書 | ■文春新書 | ■新潮新書 | ■晋遊舎ブラック新書 | ■講談社現代新書 | ■集英社新書 | ○[ドラマ感想] | ○PC関連雑談 | ○お気に入りマンガ | ○ひぐらし関係 | ○アドエス関連 | ○エヴァ関連 | ○ゲーム関連雑談 | ○ニコニコ・ようつべとか | ○マサカズドラマ | ○今見ても楽しめるドラマ | ○図書館に対する苦言・意見 | ○最近プレイしたゲームの感想 | ○最近見たアニメ | ○演劇・オペラ | ○雑記 | ●交換殺人モノ● | ●密室殺人モノ● | ★ブログの連絡事項 | アニメ・コミック | ゲーム | パソコン・インターネット | モンハン2ndG | 映画・テレビ | 書籍・雑誌 | (あ行)あさのあつこ | (あ行)うえお久光 | (あ行)その他 | (あ行)スティーヴ・オルテン | (あ行)乙一 | (あ行)乾くるみ | (あ行)五十嵐貴久 | (あ行)井上夢人 | (あ行)伊坂幸太郎 | (あ行)大石直紀_ | (あ行)奥田英朗 | (あ行)岡嶋二人 | (あ行)岡田斗司夫 | (あ行)恩田陸 | (あ行)我孫子武丸 | (あ行)有川浩 | (あ行)歌野晶午 | (あ行)浅田次郎 | (あ行)浦賀和宏 | (あ行)海月ルイ | (あ行)石崎幸二 | (あ行)石持浅海 | (あ行)石田衣良 | (あ行)秋月涼介 | (あ行)遠藤徹 | (あ行)阿刀田高 | (か行)その他 | (か行)スティーヴン・キング | (か行)久坂部羊 | (か行)京極夏彦 | (か行)今野敏 | (か行)倉知淳 | (か行)劇団ひとり | (か行)北國浩二 | (か行)北山猛邦 | (か行)北川歩実 | (か行)北村薫 | (か行)小松左京 | (か行)小林泰三 | (か行)木下半太 | (か行)海堂尊 | (か行)片山恭一 | (か行)貴志祐介 | (か行)金城一紀 | (か行)霧舎巧 | (か行)黒川博行 | (さ行)その他 | (さ行)島田荘司 | (さ行)新堂冬樹 | (さ行)時雨沢恵一 | (さ行)朱川湊人 | (さ行)桜庭一樹 | (さ行)椙本孝思 | (さ行)殊能将之 | (さ行)清水一行 | (さ行)清水義範 | (さ行)真藤順丈 | (さ行)笹沢左保 | (さ行)篠田真由美 | (さ行)雫井脩介 | (そ行)宗田理 | (た行)その他 | (た行)ダン・ブラウン | (た行)恒川光太郎 | (た行)竹内真 | (た行)竹本健治 | (た行)谷川流 | (た行)辻村深月 | (た行)高田崇史 | (た行)高畑京一郎 | (た行)高野和明 | (な行)その他 | (な行)中島望 | (な行)法月綸太郎 | (な行)西尾維新 | (な行)西村寿行 | (な行)西澤保彦 | (な行)貫井徳郎 | (は行)その他 | (は行)ジェイムズ・P・ホーガン | (は行)バリントン・J・ベイリー | (は行)初野晴 | (は行)東川篤哉 | (は行)東野圭吾 | (は行)氷川透 | (は行)深水黎一郎 | (は行)福田和也 | (は行)福田和代 | (は行)福田栄一 | (は行)船越百恵 | (ま行)その他 | (ま行)三島由紀夫 | (ま行)三津田信三 | (ま行)宮部みゆき | (ま行)望月守宮 | (ま行)松本清張 | (ま行)森博嗣 | (ま行)湊かなえ | (ま行)道尾秀介 | (ま行)麻耶雄嵩 | (や行)その他 | (や行)安田佳生 | (や行)山口芳宏 | (や行)山崎豊子 | (や行)山田悠介 | (や行)山田正紀 | (や行)横山秀夫 | (や行)矢野龍王 | (や行)米沢穂信 | (や行)薬丸岳 | (や行)養老孟司 | (ら行)連城三城彦 | (わ行)その他 | (わ行)渡辺淳一 | (わ行)輪渡颯介 | [訃報]